設立趣旨

東京女子大学女性学研究所は、女性学の奨励と発展に貢献する目的のもと、1990年に設立されました。女性たちの身近にある小さな事柄から、文化・歴史・社会の構造的把握という大きなテーマに至るまで、あらゆる問題を研究テーマとして取り上げ、女性学・ジェンダー研究の交流の拠点となっています。
女性学・ジェンダー研究は、ジェンダーをめぐるさまざまな文化的・社会的事象を多角的に考察するものです。本研究所では、表現領域、歴史的領域、社会的領域、心理、文化的領域、そしてそれらの領域を横断する学際的研究の発展を促進します。具体的には、ジェンダーをめぐる問題を扱うプロジェクト研究・個人研究や、国内外の専門家による公開講演会・セミナーを実施しています。本研究所の活動には学生も参加し、自身のライフコースやキャリアプランを考える一つの機会となっています。

沿革と歴史

事業内容

出版

女性学研究所入り口年報配布スペース『女性学研究所年報』(講演会、セミナーを始めとする研究活動のリポート)と
『プロジェクト研究報告書』 - を毎年刊行しています。

年報は女性学研究所(16号館入り口)にて無料配布しています。

→本研究所の出版物に関する情報はこちらをご覧ください。

国内外との研究交流

◇客員研究員の招聘

国内外から女性学・ジェンダー研究者を招聘し、研究の交流を図っていきます。

◇公開講演会の開催

国内外の女性学・ジェンダー研究者による公開講演会を開催しています。

【2018年度 女性学研究所公開講演会】
第1回 「『占領の日常』に抗して -パレスチナ人女性の闘い -」
ファドワ・ラバディ氏 (元インサーンジェンダー研究センター所長) 2018年6月28日

第2回 「第33回女性史青山なを賞 公開シンポジウム 『関口裕子さんの学問と現在』」
関口裕子氏女性史刊行会 (伊集院葉子氏、黒田弘子氏、野村育世氏、義江明子氏) 2018年12月12日

【2019年度 女性学研究所公開講演会】
第1回 「癒やしと正義 - 東ティモールにおける紛争後の性暴力被害者支援」
マヌエラ・ペレイラ氏(NGO ACbit代表) 2019年7月5日

第2回 「女性の就労と多様な役割から考える男女共同参画」
石井クンツ昌子氏(お茶の水女子大学 教授 ジェンダー研究所長) 2019年10月25日

第3回 「第34回女性史青山なを賞 公開講演会 『恋愛の歴史をジェンダーの視点から読み解く』」
田中亜以子氏(関西大学他非常勤講師) 2020年1月8日

【2020年度 女性学研究所公開講演会】
第1回「Bridging Divides: Thriving in the Multicultural World」
Hazel Markus 教授(米国スタンフォード大学) 2020年12月9日

第2回 「第35回女性史青山なを賞 公開講演会『女が描くこと、フェミニストが書くこと』」
中嶋 泉氏(大阪大学准教授) 2021年1月6日

【2021年度 女性学研究所公開講演会】
第1回 「第 36回女性史青山なを賞 公開講演会『ナチス機関誌「女性展望」を読みながら考えたこと ―歴史記述、表象分析そして女性史―』」
桑原 ヒサ子氏(敬和学園大学名誉教授) 2021 年 12 月 15 日

第2回 「第 36回女性史青山なを賞 特別賞 公開講演会『展示を創る―女性史・ジェンダー史の豊かさのなかで』」
横山 百合子氏( 国立歴史民俗博物館名誉教授) 2021 年 1 月 12日

【2022年度 女性学研究所公開講演会】

第1回 「第37回女性史 青山なを賞 公開講演会『客の目を介した遊女・遊廓像』」
髙木まどか氏(成城大学文芸学部 非常勤講師) 2022年12月14日

第2回 「第37回女性史 青山なを賞 公開講演会『ジェンダーの視点からみるいわさきちひろ』」
宮下美砂子氏 (小田原短期大学特任講師) 2022年12月14日

第3回 「取り出される『ケア』―ヤングケアラーの『発見』」
桜井智恵子氏(関西学院大学人間福祉学部教授) 2022年12月23日

【2023年度 女性学研究所公開講演会】

第1回 「サムライを擁護して ― アリス・メーベル・ベーコンと戦時下の明治日本」
ジョセフ・ヘニング氏 (ロチェスター工科大学歴史学科) 2023年7月6日

第2回 「第38回女性史 青山なを賞 公開講演会『近代ドイツ史にみるセクシュアリティと政治 −性道徳をめぐる葛藤と挑戦』」
水戸部由枝氏(明治大学政治経済学部 教授) 2023年11月2日

【2023年度 SDGs推進委員会主催・女性学研究所共催公開講演会】

「ケニアにおける『生理の貧困』対策と女性のエンパワメント」
Vivian Nyaata氏(ケニア Kisii大学) 2023年7月13日

教育活動

◇女性学・ジェンダー研究領域における学際的な授業の企画

2023年度授業科目 :「女性学・ジェンダーを学ぶ」

「女性とジェンダーの歴史」

「女性と表現」

          「現代の家族とジェンダー」

「総合教養演習(女性の生きる力)」

◇Woman’s Cafe (女性・ジェンダーに関する対話の場)の開催

【2018年度 Woman’s cafe】
第1回 「精神医学とトランスジェンダー」  心理学専攻 教授 柴山雅俊氏  2018年10月24日

第2回  映画上映会 「10代のカミングアウト」 2015年英ドキュメンタリー 2018年11月14日

第3回 「性の多様性を考える -社会は寛容になっているのか?」
コミニュケーション専攻 特任講師 湯川やよい氏 2018年12月4日

【2019年度 Woman’s cafe】
第1回 「LGBTと家族 - 家族へのカミングアウトの研究から-」
女性学研究所 特任准教授 中川まり氏  2019年5月14日

第2回 「Mental Health Situation of Transgender Youth in Europe」
研究員 Panna Farka 2019年5月28日

第3回 「女子大学とトランスジェンダーを考える」
女性学研究所 特任准教授 中川まり氏 2019年6月27日

第4回 「トランスジェンダーを取り巻く状況を考える -日本とアメリカを例に-」
ジャーナリスト・元衆議院委員 大学院博士後期課程 井戸まさえ氏 2019年12月3日

第5回  映画上映会 「いろとりどりの親子」 (2018年米国) 2019年12月12日

第6回 「女子大キャンパス・ライフとSOGI – 東女生たちの語りから -」
心理学専攻 前川あさ美氏 2019年1月29日

【2020年度 Woman’s cafe】
第1回 「Xジェンダーの被服体験」
コミニュケーション専攻 教授 渡辺隆行氏 2020年6月17日

第2回 「少女マンガの描く<男装の少女>とジェンダー」
本学非常勤講師 押山美知子氏 2020年9月23日

【2021年度 Woman’s cafe】
第1回「芸術と社会の関係を探る―ジェンダーの視点から」
女性学研究所 特任准教授 竹田恵子氏 2021年5月21日

第2回「近代日本の女性アーティストと戦争」
日本大学学術研究員 吉良智子氏 2021年6月4日

第3回「女性と現代写真文化」
大阪大学准教授 中嶋 泉氏 2021年6月25日

第4回「ポストフェミニズムとは何か」
名古屋市立大学准教授 菊地夏野氏 2021年11月24日

第5回「ポストフェミニズムとポピュラー・カルチャー」
専修大学教授 河野真太郎氏 2021年12月10日

【2022年度 Woman’s cafe】
第1回「森発言はどのように受け止められたか:ジェンダーとメディア利用からの検討」
本学コミュニケーション専攻教授 有馬明恵氏 2022年6月2日

第2回「Visual representations of older women in cosmetic advertising(前半)」
東京女子大学研究員(JSPS外国人特別研究員) Lame Maatla Kenalemang-Palm氏
2022年7月4日

第3回「Visual representations of older women in cosmetic advertising(後半)」
東京女子大学研究員(JSPS外国人特別研究員) Lame Maatla Kenalemang-Palm氏
2022年7月11日

第4回「スウェーデンにおける家族のカタチ―LGBTに対するカリキュラムから」
日本福祉大学福祉経営学部 医療・福祉マネジメント学科教員 小野尚香氏

第5回「アイドルとクィア―異性装するアイドルの事例を中心に」
慶應義塾大学大学院博士後期課程 上岡磨奈氏 2022年11月25日

第6回「『推し』ながら悩み、悩みながら『推す』―『推す』ことの倫理」
東京大学特任研究員 筒井晴香氏 2022年12月19日

【2023年度 Woman’s cafe】
第1回「満洲引揚者の記憶――母と娘の関係性に着目して」
本研究所客員研究員 湯川 真樹江氏 2023年6月1日

第2回「今、触れたいジェンダー研究の古典 イリイチ『ジェンダー』からのメッセージ~一元化する社会に抗して~」
本学現代教養学部国際社会学科 教授 金野 美奈子氏 2023年6月23日

第3回「「LGBT+」を『理解』するってどういうこと?」
女性学研究所 特任准教授 志田 哲之氏 2023年10月18日

第4回「若年未婚女性における結婚と仕事と子ども」
文京学院大学 人間学部心理学科 教授 心理臨床・福祉センター「ほっと」センター長 永久 ひさ子氏  2023年11月17日

研究活動

◇共同研究

人文・社会・自然科学分野において、女性学・ジェンダーの問題意識に基づく共同研究を行うグループに研究費を支給し、研究成果を「共同研究報告書」として刊行しています。

Project 47 溝口 昭子先生(研究代表者)
本合陽先生(研究分担者)、篠目 清美先生( 研究分担者)、 Houwen  Andrew 先生(研究分担者)
「文学・文化にみるジェンダー・フルイディティ」(第3年度)

Project 48 有馬 明恵 先生(研究代表者)
加藤 尚吾先生(研究分担者)、白銀 純子先生(研究分担者)
「オンライン空間での女性たちの情報発信:サイバーフェミニズムとサイバーフェミニニティの検討」(第2年度)

◇個人研究

個人による女性学・ジェンダー研究に研究費を支給し、研究成果を発信する場を提供します。

小舘 崇子先生
「理系学生が女子大学を選ぶ理由とメリットについて」

小林 美恵子先生
「アクション・ラーニングのプロジェクトを通した女子大学生の『発言に対する自信』の獲得の事例研究」

◇「女性史青山なを賞」

女性学の視点に立脚する優れた女性史の業績にたいして毎年贈られます。受賞者による公開講演会も開催しております。

◇「青山なを研究奨励金」

本学卒業生および学生による女性学の共同研究、または個人研究に対して授与されます。

◇「秋枝蕭子学生研究奨励金」

本学大学院生による女性学・ジェンダーの共同研究、または個人研究に対して授与されます。

◇「江口裕子学生研究奨励金」

本学学部生、大学院生による女性学・ジェンダーの共同研究、または個人研究に対して授与されます。

これまでの事業

特色GP(特色ある大学教育支援プログラム)『女性学・ジェンダー的視点に立つ教育展開――「女性の自己確立とキャリア探究」の基礎をつくるリベラル・アーツ教育』において、さまざまな取組をおこないました。

特色GP(特色ある大学教育支援プログラム)